000:サバイバー・ミッション
- 作者: 小笠原慧
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/10/27
- メディア: 単行本
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『Dz』の中の人。小川勝巳と一緒に横溝賞獲った人でサイエンスな話を書いてるっぽいという程度の認識でした。
のっけから作品以外のところの言及で申し訳ないのですが、まずアオリが悪い。あんな書き方したら結末が割れやすくなるということに担当者は気がつく必要があります。もうほんとにほんとにお馬鹿さん。
近未来SFです。手塚漫画の未来都市の実写版みたいな街かどうかは知りませんが、随所に現実にはないハイテクノロジーが登場してきます。その最たるものがAI探偵ことドクター・キシモト。ラップトップマシンの中に住んでいます。松尾由美的に言えばドウエル教授です。
冒頭の殺戮シーンのサイコっぷりが抜群で、すっかり引き込まれたまま読んでいきましたが、理津フィールドワーク→あらたな手がかりハケーン!→ドクター・キシモトとのブリーフィング→キシモトの新たな一面を垣間見る→謎は深まるばかりだ と物語の進め方が単調だったので、途中で微妙に息切れ。物語の展開させるフラグ立てのタイミングが巧いので、なんとか最後まで飽きずには読めました。
以下ネタばれ含みます。
ジキル&ハイドという古典で描かれた悪としての自己VS善としての自己を見事な形でリメイクしているとは思うのですが、もっと残虐性や狂気性が高くてもよかったと思います。最初の期待に比べるといささかステレオタイプ過ぎるラストといった印象が強いですよ。