019:水の迷宮

水の迷宮 (カッパノベルス)

水の迷宮 (カッパノベルス)

巧い。何が巧いかと言えば、登場人物の行動に制約をかけること。事件を刹那に終わらせてしまうような行動を封じて、事件を遠回りさせるのが実に巧い。理由付けがナチュナル。本作は微妙さが許容範囲内であったし、まとまりを考えると、読了した作品の中ではいちばん良かったと思う。『BG、あるいは死せるカイニス』で入って、石持を読み続けていた自分を褒めたい。