009:野ブタ。をプロデュース

野ブタ。をプロデュース

野ブタ。をプロデュース

いじめられっ子転校生(キモチ悪いほどおどおどしたデブ)を人気者にすべく、オレはプロデューサーを買って出た! 「『セカチュウ』で泣いてる場合ではない、『野ブタ。』を読んで笑いなさい」と斉藤美奈子氏絶賛、第41回文藝賞受賞作! (河出書房新社HPより)

芥川賞候補。面白いよ。でも獲んねーだろーなー。すくなくとも作品では獲らないよ(いろいろな含みをこめて)。

主人公の他人のいじり方とかがすごくおもろい。野ブタのキャラもいいし、今どきのノリをうまく表現してますね。フィーリングがあれば大変面白く読めると思います。なんつーか笑いのセンスがあえばってところかな。たとえば『南海キャンディース』のネタを腹抱えて笑う人もいれば、全然面白くないんですけどって人もいるわけで。後者のように感性の合わない人が読んでしまったら、この作品はまったくの駄作になってしまうんだろうなと思います。

なぜか。それはこの作品は面白おかしく書いている前半によって支えられている作品だから。後半はまったくもって後味が悪いし、なにより救いが無さ過ぎ。坂道転がり落ちる原因となった出来事にも説得力がなくて、無理やり悲劇に持っていこうとしたって感じがします。勿体無い。あれか? 純文だからか? 無理やり暗い話に持ってかなきゃって脅迫観念でもあったのか?

まぁそれならそれでいいんだけど、シリアスな内容をシリアスに書き切るだけの巧さがどうもまだ無かった模様です。行間から読者が掬いあげるべきメッセージを、筆者がこれでもかってくらい明示的に書いてしまってはちょっと趣きに欠けるんじゃないかしらん? あれかなー自分の意図が思った通りに伝わるか心配であからさまに書いちゃったのかなー。

これが若さか・・・・・(陰気なニュータイプに殴られつつ)