今回の見送りは仕方ない
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/07
- メディア: 単行本
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歩き出したバラバラ死体、解体された神様、鉢合わせの泥棒-。無関係に思えた五つの物語が、最後の最後で一つの騙し絵に収録する。これぞミステリー! (「MARC」データベースより)
貸してくれた人:ことこさん(id:kotoko)
作品ごとにどこかで繋がりを持っている伊坂世界の縮図的作品。
点と点が繋がる瞬間が楽しい。ただ「点」を置きすぎた感がしないでもないので、人によっては煩雑すぎて読み難いかもしれません。このプロットは後の作品でも使用されているし、筆者得意のスタイルなのでしょう。そういう意味で、本作は伊坂幸太郎という作家を象徴する作品であると思います。
特に伊坂らしいのが五つの物語をひとつの結末に集束させるのではなく、それぞれが自分たちの道を行き、その過程で接触を起こしているに過ぎないこと。あぁだから、最後にまとめてどーん! *1ていうのが好きな人は肩透かしかも。
ただ、どうにも不思議なのは五つの物語のうちに酔っ払いが出てこなかったこと。「ラッシュ」という言葉に拘りを見せるなら、登場させて然るべきなのじゃないかしらん(単に僕が暗示を読み落としているだけかもしれない)
しかしなぁ。二作目にして、こんなへんちくりんな作品(誉めてる)を書いちゃうんだからな。文藝春秋の逃がした魚はデカイね。なんとか掴んでおけば、『陽気なギャングが地球を回す』も君のところから出てただろうに。
ちなみに今回も『重力ピエロ』のパパ最強説は揺るがなかったことは強調しておこう。