王道もいいところな設定のミステリ
- 作者: 近藤史恵
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1999/09/23
- メディア: 文庫
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得意客ぐるみ慰安旅行としゃれこんだ喫茶店〈北斎屋〉の一行は、瀬戸内海の真ん中に浮かぶS島へ。かつて新興宗教の聖地だった島に、波瀾含みのメンバー構成の男女八人が降り立つ。退屈する間もなく起こった惨事にバカンス気分は霧消し、やがて第二の犠牲者が……。孤島テーマをモダンに演出し新境地を拓いた、第4回鮎川哲也賞受賞作。(東京創元社HPより)
本作に初めて触れたのは3年近く前のこと。序盤まで読んでいたのですが、てきすとさいとのおふかい、という集いに参加した折に出くわした豪雨で、本がぼろぼろになってしまいました。それで読む意欲を削がれたというほろ苦くも甘酸っぱい記憶が詰まった作品です。
そんな青春の独白は心底どうでもよいです。作品の話する。
読み終えて鳥肌が立ちました。怖かったからじゃなくて、結末がとても冷たかったから。心が凍えてしまうような悲しいお話。ただ、その行為には絶対同意できません。利己的な行動に腹が立ちます。
登場人物の器の狭さには閉口しました。なんというか、性格悪すぎ。特に守田まじウザイ。もっとも、彼らにもう少し思いやりがあったら、事件は起きなかったかもしれません。じゃあ、この人物設定は成功なのか。なるほど。あーでもキャラの書き分けがもうすこし欲しかったなぁ。みんなおんなじような反応や行動するんだもん。
話の落としどころはいい感じだったのですが、キメの文章がまったくもって意味不明で、感動が伸び悩みました。(ネタばれ)シンプルにわかりやすい文章にした方が響きます。どうも締め方が好きじゃないなぁ。なつこの行為に現実味がなさすぎないだろうか。(ネタばれ)
とは言え鮎川哲也賞はレベルが高いなぁ。これだけの作品引っさげてなら、堂々のデビューと言えるもの。受賞作ハズレないんじゃないのかなぁ。・・・あーいや、嘘だった。けっこうある。