ものすごい恋愛感

ALONE TOGETHER (双葉文庫)

ALONE TOGETHER (双葉文庫)

「ある女性を守って欲しいのです」三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の頼み。「女性といってもその子はまだ十四歳…。私が殺した女性の娘さんです」二つの波長が共鳴するときに生まれる、その静かな物語。『MISSING』に続く、瑞々しい感性に溢れた著者初の長編小説。(「BOOK」データベースより)

人の感情の波長に自分のそれを重ね合わせることが出来る能力を持つ主人公。ははーん。こいつは常野の一族だな。常野一族はどうしたってもてなさなくちゃいけないんだ! そーれ、わっしょーい! わっしょーい! て馬鹿。
あれだな。これ『真夜中の五分前』の後に読んでよかったな。『MISSING』の後すぐに読んでいたら、たぶんちょっと落胆してた。サクラやミカちゃんに対する主人公の想いや触れ方は、切なくてやさしい筆者のテイストが十二分に発揮されているのですが、肝心の熊谷との関係ば薄っぺらすぎなんだもん。
そもそもこの熊谷って女、二十歳そこそこにして色々と達観していると見せかけて、濡れるか否かで愛情を量ってしまうんだぜ。ちょっとドキュソやん。
どうも全体的に観念や思想の世界に走りすぎた感がありかな。すべて、それで理由付けや解決をしようとしているもんなぁ。非常に理屈っぽい作品。