少年のやさしい不器用さ

龍は眠る (新潮文庫)

龍は眠る (新潮文庫)

嵐の晩だった。雑誌記者の高坂昭吾は、車で東京に向かう道すがら、道端で自転車をパンクさせ、立ち往生していた少年を拾った。何となく不思議なところがあるその少年、稲村慎司は言った。「僕は超常能力者なんだ」。その言葉を証明するかのように、二人が走行中に遭遇した死亡事故の真相を語り始めた。それが全ての始まりだったのだ…宮部みゆきのブロックバスター待望の文庫化。(「BOOK」データベースより)

感想文がたまりはじめてしまいました。気合入れて一気に書こうと思います。

不思議な能力を持っていると主張する少年と中年の雑誌ライターのふれあいを軸に展開するのですが、そのストーリー運びの巧さはさすが。本当の超能力なのか、それとも緻密に計画された嘘なのか、ライターだけでなく読者も振り回されます。

超能力が本当であれ嘘であれ、その真相の落としどころが作品の肝になってくるのだろうけど、そこはすこし肩透かし食らった感じです。あんまり感動出来なかったなぁ。もっと切なさをくれよ!

不安定な少年を描くのにとても長けているのは十二分に伝わってきます。ただ主人公のライターをみんな慕う理由がわかないし、細かいところで登場人物の行動に納得できないところがありました。プロットの巧妙さだけが先に立ってしまったかなぁと思います。

リーダビリティの高さには相変わらずなんですけどね。