読者のイメージを大切にしよう
- 作者: 法月綸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1992/03/03
- メディア: 文庫
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誇り高い美女からの招待で信州の山荘に出かけた法月警視だが、招待客が一堂に会したその夜、美女が殺される。建物の周囲は雪一色、そして彼女がいたはずの離れまで、犯人らしい人物の足跡もついていないのだ。この奇怪な密室殺人の謎に法月警視の息子綸太郎が挑戦する。出色本格推理。(「BOOK」データベースより)
新本格の伝統を真摯に踏襲した作品だと思います。法月親子にまつわるストーリーは正直イラネ。つうかどんだけかっこよく書いても、作者がツラ出ししてっからさ、いい感じのイメージが浮かんでこないわけですよ。有栖川の同人とか書いている人のイマジネーションの制御力には頭が下がります。すげーよ腐女子脳。
それらしい場面設定と奇抜なトリックがあって、「新本格!」という感じはものすごく伝わってきます。が、それ以上でもそれ以下でもないかな。さほど長くないから読みやすさはあるのですが、読者を引き込んで一気に結末まで読ませるかっていうとそうでもないです。
大きなサプライズがないからなぁ。個人的に「こうすれば理論的に可能なんです」という理路整然としたトリックは好きじゃないのです。これは森博嗣の『冷たい密室と博士たち』を読んだときにも言及したことがあるのですが、多少強引でも驚きたいの! もっとぶっ飛んだのをくださいよ。