ここ十年の乱歩賞ではトップクラス

Twelve Y.O. (講談社文庫)

Twelve Y.O. (講談社文庫)

沖縄から米海兵隊が撤退した。それは米国防総省が、たった一人のテロリストに屈服した瞬間だった。テロリストの名は「12」。最強のコンピュータウィルスアポトーシス2」と謎の兵器「ウルマ」を使い、米国防総省を脅迫しつづける「12」の正体は?真の目的は?圧倒的スケールの江戸川乱歩賞受賞作。(「BOOK」データベースより)

『テロリストのパラソル』(藤原伊織)を除けばここ十年の乱歩賞の中ではダントツだと思います(『13階段』(高野和明)もあるけど、あんまり好きじゃない。あと『脳男』(首藤瓜於)については未読なので保留)。『亡国のイージス』では「辺古名ディストラクション」と呼ばれる事件が描かれています。だから『亡国の〜』から先に読んだ僕のような読者には、その前日談として楽しむことが出来る作品です。
あれだね。福井は頑な青年と愚直で無骨なおっさん絡ませるのが好きだね。まぁその頑なさと愚直さにホロリとやられちゃうわけなんだけども。ただ惰性で10年生きてきた人間が急にやる気満々になっちゃうのは無理ないすか? 巻き込まれ型の話は主人公が事件を乗り越えていくだけのパワーがないといけないんだけど、あまりにスーパーマンになりすぎちゃうと無理が生じるので、そのあたりのバランスが大事なんですよね。(たとえば限定じゃんけんやEカードあたりのカイジはOK。パチンコ編はやりすぎみたいな感じ)そういう意味じゃバランスはよくないな。デビュー作だからしょうがないけど。
文章の読みにくさは税金だと思って、その見返りに期待して読むべし。