初入館

北村薫のミステリー館 (新潮文庫)

北村薫のミステリー館 (新潮文庫)

北村先生編のアンソロジーは初めてです。カーの『B13号船室』に出てくる一説の元になった『フレイザー夫人の消失』(ペイジル・トムソン)や『一寸法師』を英訳機にかけ、さらに日本語に戻した『少量法律助言者』(原倫太郎/原游)など古今東西の魅力的な短編が18編も収録されていて、すごく楽しんで満腹になることが出来ます。

特に超短編が粒ぞろい。『夜枕合戦』(岸本佐知子)がものすごく面白かったです。こういう遊び心にあふれたものはとても愛くるしい。逆のベクトルで面白かったのが『クレイヴァリング教授の新発見』(パトリシア・ハイスミス)。これは想像するだに恐ろしい。ウルトラQみたいだなと思いました。

巻末の宮部先生との対談も必読。「おもいら、ほんとに本好きすぎ!」って気になります。先日のトークショウでも話題にあがった『B13号船室』に関するエピソードも当然のように書かれています。北村先生のちょっとした持ちネタになってますね。
本欲を満たすために読んだはずなのに、読む前よりもっと本欲が上がる不思議な作品。食膳に飲む食欲増進スープみたい。