008:ぼくと未来屋の夏:既

ぼくと未来屋の夏

ぼくと未来屋の夏

「未来屋」はデータが揃えば未来が見えるらしい。つまり「神通理気」の使い手である。本作はそんなGOD(God Of Ditective)が目が合った人を次々と失神させたり、眼球を自由に取り外せたり、「かわいそうな清涼院流水」とか言ったりする話では全くない(最初の一文だけ本当)。
まさに専門分野の人間が書いた正真正銘ジュブナイル。完全に児童書。ミステリとして大人が楽しめる作品かというと、いささか弱い*1
いくらなんでも仕掛けが古典的過ぎるかと。21世紀とは思えない。推理に想像に頼るところが多いのも気になる。全体的に、初めてミステリに触れる子どもに焦点を絞った作りになっていると感じた。わざわざミスランでこれを描く意味は、ちょっと見当たらない。ただ純粋にジュブナイルとして考えれば、よい作品ではあると思うのだが。

*1:子どもが読んで楽しめるか甚だ疑問なミスラン作品も多いが