004:巷説百物語

巷説百物語 (角川文庫)

巷説百物語 (角川文庫)

江戸時代。曲者ぞろいの悪党一味が、公に裁けぬ事件を金で請け負う。そこここに滲む闇の中に立ち上るあやかしの姿を使い、毎度仕掛ける幻術、目眩、からくりの数々……。幻惑に彩られた、巧緻な傑作妖怪時代小説。

京極版必殺仕事人。京極なので妖怪が絡みます。まぁ何にせよ読み難い。時代物の雰囲気を出すために現在では使わないような漢字のあて方をしてるので、なかなかテンポよく読み進めていくことが出来ませんでした。しかしながら、それ自体は作者が意図して行っていることであり、ひどく難解な文章になっているわけでもないので問題はないかと思います。逆に現代の話を書くような文体で書いてしまった時に、作品のもつ味が損なわれる方が怖いですな。

京極堂シリーズと同様に「この世に不思議なものなど何もないのだよ、関口君」というポリシーは貫いており、話のテーマとして妖怪を出しても、きちんと論理的に話が進んでいるのはよいね。当然といえば当然だけど。だってミステリの体裁で進んでいるのに、結末が人外の力に因るものであったら壁に叩き付けられても文句は言えないもの。そりゃ言えないよ。大層な大風呂敷広げておいて、実はものすごい科学力だとか、ものすごい超能力だとかさ、ホントありえないよ。いやいや大説だからとか言い訳にならないから。

でも、「妖怪」を笠に着て、結構無茶な話してるところもあるよ。
ネタばれ->http://d.hatena.ne.jp/amaikoi/00000003


又市たちの仕掛ける計画の巧緻さを味わうというのが巧い読み方かと思います。