005:共犯マジック

共犯マジック (徳間文庫)

共犯マジック (徳間文庫)

人の不幸のみを予言する謎の占い書「フォーチュンブック」。偶然入手した七人の男女は、運命の黒い糸に絡めとられたかのように、それぞれの犯罪に手を染める。錯綜する物語は、やがて驚愕の最終話へ。連作ミステリーの到達点を示す傑作長篇。(楽天ブックスより)

紹介文では長篇と書いてありますが、実際は連作短編集のスタイルをとっています。北森鴻の作品なので安心して買い求めたのですが、果たして、その期待に沿うものになっていました。
プロットの巧みさは流石。先のエピソードを読むにつれて、伏線が爆発し、さらに次の伏線へと繋がる時限式の面白さがあります。やっぱりこの人は連作短編書かせるといいものを生んでくれるね。時代背景すらも伏線にするあたりに職人スメルを感じます。
結末の落としどころは好みが分かれる感じですが、それに沿った土台作りを作中でしているので、あれでよかったのかなと思います。あとは事象のつながりが一辺倒で、先が読めてしまう箇所があるのは残念なところ。一定の面白さを提供してくれるけど、埒外の驚きもない。偏差値60的な作品。